業務委託契約書は、発注者と受注者の権利・義務を定める重要な文書です。内容を十分に確認せずに署名すると、後から深刻なトラブルに発展することがあります。本記事では、締結前に必ず確認すべき10のポイントを解説します。
目次
業務委託契約とは、ある業務を外部の個人・法人に委託する際に締結する契約です。民法上は「請負契約」と「委任(準委任)契約」の2種類に大別されますが、実務では両者の要素が混在した形で使われることが多いです。
請負契約は成果物の完成を約束するもの(例:ウェブサイトの制作)、委任・準委任契約は業務の遂行自体を委託するもの(例:コンサルティング)です。どちらの性質を持つかによって、瑕疵担保責任の有無など権利義務の内容が変わります。
最もトラブルが多いのが業務範囲の曖昧さです。「〇〇システムの開発」と記載するだけでは、設計・テスト・納品後のバグ修正がどこまで含まれるかが不明確です。
確認すべきポイントは以下のとおりです。
報酬に関しては金額だけでなく、支払タイミング・支払方法・消費税の扱いを必ず確認します。特に注意が必要なのは以下の点です。
「検収後30日以内に支払う」という条件が多いですが、検収基準が不明確だと支払いを無期限に引き延ばされるリスクがあります。検収の方法と期限を具体的に定めましょう。
業務委託で最も争いになりやすいのが知的財産権の帰属です。受注者が作成したプログラムや資料の著作権は、契約に明記がなければ原則として受注者に帰属します。
確認すべき項目は以下のとおりです。
発注者側は「成果物に関する一切の権利は発注者に帰属する」という条項を求めることが多いですが、受注者は自社のノウハウが含まれる場合に注意が必要です。
業務委託では多くの場合、発注者の機密情報(顧客データ・技術情報・営業情報など)を受注者が取り扱います。秘密保持条項では以下を確認します。
「秘密保持義務は契約終了後も5年間存続する」といった残存条項が入っていることが多く、受注者にとって重要なポイントです。
競業避止義務とは、委託業務と競合する業務を行うことを制限する条項です。フリーランスや副業で複数の企業から受注している場合、見落とすと深刻な問題になります。
地域・期間・業種の範囲が合理的な範囲を超えていないか確認しましょう。無期限・全業種・全地域にわたる競業避止義務は、公序良俗違反として無効になる可能性があります。
受注者が業務の一部を第三者に再委託することを許可するかどうかを確認します。「発注者の事前承認を得た場合のみ再委託可」という条件が一般的です。
再委託が許容される場合でも、再委託先の行為について受注者が発注者に対して責任を負うかどうかを明確にしておく必要があります。
契約解除に関しては、解除できる条件と解除時の清算方法を確認します。
損害賠償条項では、賠償額の上限が設定されているかを確認します。「報酬総額を上限とする」という規定が一般的ですが、発注者側は制限なしを求めてくる場合もあります。
故意・重過失の場合には上限なし、軽過失の場合は報酬総額を上限とするといった区分けがバランスのとれた条項です。
国内取引であれば準拠法は日本法で問題ありませんが、合意管轄(紛争が生じた場合にどの裁判所で解決するか)は確認が必要です。
発注者の所在地(例:東京地方裁判所)を管轄とする条項が多いですが、受注者が遠方の場合は負担になります。必要に応じて交渉しましょう。
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